人材の育成と活用

基本的な考え方

創業の精神「和を以て貴しと為す」は、「人を何より大切にする。常に力を合わせる。妥協せず、切磋琢磨して、お互いに理解し合う」ということを示しており、現在も変わらず事業活動の基本となるものです。当社は、「人材が最大の経営基盤」という認識のもと、人材育成、活躍支援を行い、従業員の成長を企業の持続的な成長につなげています。また、多様な意見や価値観の尊重が変革や改善を生み出すという認識のもと、多様な人材の採用と多様な人材を生かす人事制度や社内環境の整備を行っています。
人材育成においては、企業理念「TSUBAKI SPIRIT」に定める行動原則を日々の業務で体現すべく、
・変革意欲を持ってチャレンジを続ける、
・常に高いスキルとその向上を求め続ける、
・自己の責任を認識して主体的に自己責任の下に行動できる
ことを目標としています。職種を問わず、様々な育成機会を体系的、計画的に提供するとともに、若手従業員については5年ごとに人材育成計画表を作成し、確実な成長を支援しています。

研修・教育体系の充実

当社グループの成長の原動力は、1917年の創業以来、モノづくり企業として磨き続けてきた技術力と熟練技能です。次世代への技術伝承・強化をねらいに、1998年4月に若手技術者向けの「つばきテクノスクール」を開校。その後、技能系、営業系とカリキュラムの充実を図ってきました。現在は、技術者向けの「テクノスクール」、技能者向けの「技能スクール」、事務・営業職向けの「ビジネススクール」に分割し、それぞれの内容充実を図るとともに、IoT/AI人材の育成にも注力しています。
これら機能別研修と、職種横断の階層別研修を組み合わせることにより、従業員の意識向上と技術・技能レベルの向上という好循環を生み出しています。
その他、次世代ビジネスリーダー育成のための選抜研修など外部研修も積極的に活用。博士学位取得のため在職のまま大学へ派遣する国内留学制度も実施しています。

人材育成教育体系(椿本チエイン)

ねらい:社会の環境変化を先取りする能力と柔軟に対応する能力を有し、自己成長を通じて広く社会に貢献できる人材を計画的・組織的に育成する。

階層別研修 新入社員研修、中間採用者研修
昇格時研修、管理職研修、経営幹部研修
論理的思考力向上研修、リーダーシップ開発研修
機能別研修 技術系(機械工学、加工技術、電気・制御等)
技能系(初級・中級・上級)
営業系(セールススキル、営業現場の基礎技能)
グローバル研修 英語スキル向上研修(ライティング、プレゼンテーション、ミーティング)
若手対象グローバル海外研修、グローバル人材育成研修
その他 キャリアプラン研修、ライフプラン研修、メンタルヘルス研修、コンプライアンス研修、安全衛生教育、情報セキュリティ教育、人権教育、通信教育、外部派遣研修

①若手技術者の育成

「つばきテクノスクール」は、基礎技術や加工技術等の「初級技術コース」、材料工学や制御・情報工学等も含めた「中級技術コース」など、当社オリジナルのカリキュラムによる実践的な研修です。中級コースでは職場での課題の中からテーマを設定して解決策を実行するなど、知識・スキルの向上に加え、問題解決能力向上にもつなげています。また、新たな技術領域もカリキュラムに取り込み、IoT/AI人材の育成も行っています。
これら研修とは別に、各部門の最新技術を発表する「技術フォーラム」を通じて、部門を超えたアイデアの共有、交流・協創の場を広げています。
また、若手・中堅エンジニアの成長機会として、先端技術、技術経営を学ぶとともに、社外のエンジニアと交流できる外部セミナーへ派遣しています。

テクノスクール
テクノスクール
技術フォーラム
技術フォーラム

②モノづくり技能の向上

当社グループでは、①「技能士」養成、②基礎技術・技能の実技指導により当社固有の技能・技術の伝承を図る「加工道場」、③技能者の最上位資格「マイスター」設置による後継者育成他により、モノづくり技能の継承と強化を図っています。
また、ノウハウや経験を生かして、職場の指導育成の活性化や環境作りを担う役割者向けの「上級技能者研修」や昇格後階層別研修を開催し、技能向上へのスキルアップにつなげています。
これら技能の相互研鑽、発表の場となるのが、2012年にスタートした「つばき技能オリンピック」です。当社グループの優れた技能者が一堂に会し、全事業に共通する「普通旋盤」「溶接」「計測」「CAD製図」など10種目でその技を競い (技能検定1~2級レベル)、成績優秀者には金・銀・銅メダルが授与されます。2016年からは海外グループ会社からの参加もあり、技能の向上に加えて、事業部門、国内外を問わない技能指導や交流により、組織の活性化にも寄与しています。

つばき技能オリンピック

計測
段取り改善技能
溶接
溶接
普通旋盤
普通旋盤

③グローバル人材の育成

当社グループの海外売上高比率は、2022年度には63.3%に伸長し、海外従業員比率も 51.6%となっています。
このような状況下、グローバル人材の育成・強化は当社グループの重要課題のひとつです。2010年度より、語学と国際的ビジネスマナーの習得および異文化への理解を促進する目的で、海外子会社に若手従業員を研修生として1年間派遣する「海外トレーニー制度」を導入し、これまでに合計119名の若手従業員を派遣しました。このほか、若手対象グローバル研修、カスタム型のグローバル人材育成研修により、グローバル人材の育成・強化に努めています。
上記の取り組みに加えて、海外関係会社からの出向者も積極的に受け入れています。これまでに米国、タイ、中国、インドから延べ6名が国内各事業所に駐在し、2022年度から現在も韓国からの出向者1名が活躍中です。受入出向者は日本の本社・マザー工場で国内従業員とともに働くことで当社の企業理念を改めて認識し、出向中に得た知見や技術を持ち帰って存分に力を発揮しています。国内従業員にとっても、相互理解を深め、グローバルなマインドに触れる絶好の機会となっています。

2022年度のトピックス

「Tsubaki Global Online Talk Room」を開設

2022年度から海外拠点現地スタッフと英語でコミュニケーションを図る「Tsubaki Global Online Talk Room」を開設しました。本研修プログラムは、語学力に加え、海外拠点との距離感を縮め、つばきグループ(国内・海外)双方向コミュニケーション力を向上させる目的で定期的に実施しています。
参加者からは「思っていたより英語で会話できたので自信になった」「実践が大切だと体感した」など、気づきの多い研修となっており、今後も語学力向上とつばきグループ力の向上のため、広く参加者を募り継続して実施していきます。

「新・グローバル人材育成制度」を展開

2022年度から海外赴任予定者および海外勤務者を対象に、各自のスキル・赴任先・期待役割などに応じ、必要な研修をアラカルト形式で選択し受講する「新・グローバル人材育成制度」を導入しました。この育成制度は、①赴任直後、②赴任中の各フェーズで海外・現地職務への適応度を最大化し、グローバルな環境でイキイキと活躍できる人材を育成することを狙いとしています。
2022年度は海外赴任予定者を対象に研修プログラムを実施、2023年度以降は海外勤務者に対象範囲を広げて展開していきます。

持続可能な社会の実現に向けて

つばきグループは、「動かす」分野において社会の期待を超える価値を提供し、
社会から必要とされ続ける企業となることを目指します