人材の育成と活用
基本的な考え方
創業の精神「和を以て貴しと為す」は、「人を何より大切にする。常に力を合わせる。妥協せず、切磋琢磨して、お互いに理解し合う」ということを示しており、現在も変わらず事業活動の基本となるものです。当社は、「人材が最大の経営基盤」という認識のもと、人材育成、活躍支援を行い、従業員の成長を企業の持続的な成長につなげています。また、多様な意見や価値観の尊重が変革や改善を生み出すという認識のもと、多様な人材の採用と多様な人材を生かす人事制度や社内環境の整備を行っています。
人材育成においては、長期ビジョン2030の実現に向けて、事業を牽引する人材への投資を進め、事業戦略に沿ったDX人材や次世代経営リーダー育成、グローバル人材育成プログラムも実施するなど、機会創出に向けた攻めの取り組みを推進しています。
また、企業理念「TSUBAKI SPIRIT」に定める行動原則を日々の業務で体現すべく、
・変革意欲を持ってチャレンジを続ける
・常に高いスキルとその向上を求め続ける
・自己の責任を認識して主体的に自己責任の下に行動できる
ことを目標としています。職種を問わず、様々な育成機会を体系的、計画的に提供するとともに、若手従業員については5年ごとに人材育成計画表を作成し、確実な成長を支援しています。
研修・教育体系の充実
当社グループの成長の原動力は、1917年の創業以来、モノづくり企業として磨き続けてきた技術力と熟練技能です。次世代への技術伝承・強化をねらいに、1998年4月に若手技術者向けの「つばきテクノスクール」を開校。その後、技能系、営業系とカリキュラムの充実を図ってきました。現在は、技術者向けの「テクノスクール」、技能者向けの「技能スクール」、事務・営業職向けの「ビジネススクール」を開校しています。それぞれの研修内容の充実を図るとともに、DX関連など新たな技術・技能の導入にも対応しています。
これら機能別研修と、職種横断の階層別研修を組み合わせることにより、従業員の意識向上と技術・技能レベルの向上という好循環を生み出しています。
その他、次世代ビジネスリーダー育成のための選抜研修などグローバル人材育成プログラムも実施しています。
また、35歳までの従業員については5年ごとの個別人材育成計画表を作成し、定期的に上司と部下の間でキャリア計画に関する面談を行うことにより、個人の成長支援を図っています。
①若手技術者の育成
「つばきテクノスクール」は、基礎技術や加工技術等の「初級技術コース」、材料工学や制御・情報工学等も含めた「中級技術コース」など、当社オリジナルのカリキュラムによる実践的な研修です。中級コースでは職場での課題の中からテーマを設定して解決策を実行するなど、知識・スキルの向上に加え、問題解決能力向上にもつなげています。また、新たな技術領域もカリキュラムに取り込み、DX研修やマイコン研修を企画実施するなど、事業戦略に沿ったDX人材の育成も行っています。
これら研修とは別に、各部門の最新技術を発表する「技術フォーラム」を通じて、部門を超えたアイデアの共有、交流・協創の場を広げています。
また、若手・中堅エンジニアの成長機会として、先端技術、技術経営を学ぶとともに、社外のエンジニアと交流できる外部セミナーへ派遣しています。


②モノづくり技能の向上
当社グループでは、①「技能士」養成、②基礎技術・技能の実技指導により当社固有の技能・技術の伝承を図る「加工道場」、③技能者の最上位資格「マイスター」設置による後継者育成などにより、モノづくり技能の継承と強化を図っています。
また、ノウハウや経験を生かして、職場の指導育成の活性化や環境づくりを担う役割者向けの「上級技能者研修」や昇格後階層別研修を開催し、技能向上へのスキルアップにつなげています。
これら技能の相互研鑽、発表の場となるのが、2012年にスタートした「つばき技能オリンピック」です。当社グループの優れた技能者が一堂に会し、全事業に共通する「普通旋盤」「溶接」「計測」「CAD製図」など10種目でその技を競い (技能検定1~2級レベル)、成績優秀者には金・銀・銅メダルが授与されます。第11回大会となった2024年は、海外4社を含む、13チーム175名が出場しました。各工場では、入賞者・殿堂技能者一覧をパネル展示し、その技能と努力を讃えています。つばき技能オリンピックは、技能の向上に加えて、事業部門、国内外を問わない技能指導や交流により、組織の活性化にも寄与しています。



③グローバル人材の育成
当社グループの海外売上高比率は2024年度には65.3%に伸長し、海外従業員比率も50.9%となっています。
このような状況下、グローバル人材の育成・強化は当社グループの重要課題のひとつです。2010年度より、語学と国際的ビジネスマナーの習得および異文化への理解を促進する目的で、海外子会社に若手従業員を研修生として1年間派遣する「海外トレーニー制度」を導入し、これまでに合計130名の若手従業員を派遣しました。この他、若手対象グローバル研修、カスタム型のグローバル人材育成プログラムにより、グローバル人材の育成・強化に努めています。
上記の取り組みに加えて、海外グループ会社からの出向者も積極的に受け入れています。これまでに米国、タイ、中国、インド、韓国からのべ7名が日本の各事業所に駐在しました。2024年度はドイツの子会社から半年間のトレーニーを受け入れました。日本の本社・マザー工場で国内従業員とともに働くことで企業理念「TSUBAKI SPIRIT」を改めて理解し、出向中に得た知見や技術を持ち帰って存分に力を発揮しています。国内従業員にとっても、相互理解を深め、グローバルなマインドに触れる絶好の機会となっています。
トピックス
課長職を対象に「アップデート・マネジメント研修」を実施

「アップデート・マネジメント研修」は、椿本チエインおよび国内グループ会社の職制課長を対象とする実践型研修です。「コンプライアンスリスク」「部下とのコミュニケーションスキル」などをテーマに講義とグループディスカッションを実施。研修を通じて、年上部下やZ世代への接し方、他部署が抱える悩みを共有し、各自のマネジメントに取り入れたい考え方や行動を言語化することで、部下とのコミュニケーション、組織運営力向上につなげることをねらいとしています。その実践を通じて、労働災害・品質不正のない、安心・安全な職場づくりにつなげていきます。