プレスリリース
新型コロナウイルス唾液PCR検査キット用
楽天より「不活性化唾液分注装置」を受注
PCR検査の前処理工程の自動化を実現
2021/02/02
株式会社椿本チエイン(本社・大阪市北区、社長:大原 靖)は、新型コロナウイルス唾液PCR検査用「不活性化唾液分注装置」(以下唾液分注装置)を開発。その1号機を、楽天株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷 浩史、以下「楽天」)より受注しました。
この分注装置は、楽天と国内の試薬メーカーが共同開発された唾液採取キットを用い、楽天がPCR検査として提供する「新型コロナウイルス唾液PCR検査キット」(以下PCR検査キット)向けに開発したものです。粘度が高く糸引きや吸引が困難であった唾液の分注を実現し、PCR検査における煩雑な前処理工程を全自動化。検査担当者の感染リスク低減に加え、従来の手作業と比較し、高品質かつ高効率な前処理を実現しました。
1.「不活性化唾液分注装置」開発の背景
楽天では、クラスター発生防止や感染拡大抑制を目的に、企業や自治体、病院などの団体を対象に、新型コロナウイルスのPCR検査を、提携医療機関のサポートを受けながら、高性能かつ簡単・低コストで実施できる「PCR検査キット」を提供。11月25日より検査の受付を開始されました。検査キットの配送から自宅や職場での安全な検体採取、指定配送業者を通じた検体回収、検査結果の通知まで、医療機関と提携してPCRに関わる運用を一気通貫で整備し、PCR検査の安定供給体制構築を目指しておられます。
採取された検体は、楽天と提携した検査機関(注1)に返送され、PCR検査を実施。感染が確認された場合には、提携医療機関による事後ケアも受けられる仕組みとなっています。新型コロナウイルスを不活化させる「不活性化溶液」の開発により自宅や職場等での検体採取を可能とすることで、検体採取・輸送時の2次感染リスクの低減につながるとともに、幅広い感染拡大防止の用途に使用されることが想定されています。
一方、検査機関での検査担当者の感染リスク低減、人為ミス低減、1日当たりの検査処理数拡大において、PCR検査の前処理工程の自動化が課題となっていました(下図参照)。この検体前処理工程の全自動化を目的に開発したのが、当社の「不活性化唾液分注装置」です。
(注1) 各都道府県知事による衛生検査所として登録済みの検査機関が対象
■PCR検査の流れ(■が今回当社が担当した工程)
2.「不活性化唾液分注装置」の自動化フロー(安全、スピーディ、情報管理を徹底)
従来の検査担当者による煩雑な手作業(分注含む)に代わり、「不活性化唾液分注装置」が前処理工程を全自動化。下記フローで検体の前処理工程を実施した後、PCR検査機にて感染有無が判定されます。
3.「不活性化唾液分注装置」の特長
(1) ミスのない検体ID管理と処理能力向上
検体受け入れ時のID読み取り(バーコード・二次元コード)により、検体容器IDとPCRプレートのロケーションの紐づけを行い、確実なID管理を実現。ライフサイエンス分野で培った技術を生かし、ID読み取りからキャップの取り外し、分注と、効率的な自動化フローにより、1時間当たり205検体の前処理を実現しました。
(2) 粘度の高い唾液をスピーディに吸引・分注
不活性化した唾液は非常に粘度が高く、糸引き等人手でも手のかかる作業となっていました。これを当社独自技術により、4連ノズルによるスピーディな吸引・分注を実現。さらに、液ダレ防止シャッター搭載により分注時のコンタミネーション(混入)も防止します。
(3) 「PCR検査キット」の採取容器の開栓・閉栓を自動化
栓の締め具合が異なる容器を4本ずつまとめて開栓。さらに、PCR検査に必要な量の検体を吸引した後、同じキャップを使って閉栓を行います。
(4) 試薬のプロトコルにより分注メニュー変更が可能
試薬の仕様に応じて、攪拌タイミングや分注量など分注メニューを簡単に変更できます。
4.稼働予定
2021年2月(予定)
5.今後の計画
当社では、不活化されていない検体、鼻腔喉ぬぐい液や唾液など異なる検体、さらには、規格が異なる検体容器にも一括対応できる自動化装置を開発中です。DNA保管などライフサイエンス分野で培った技術を生かし、新型コロナウイルス感染症の早期収束に向けて、検査担当者の感染リスク低減や検査体制の拡充に貢献してまいります。
■本件についてのお問合せ先
経営企画室 広報課
TEL 06-6441-0054 FAX 06-6441-0203 E-mail :
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